遺言の必要性が高い事例

 遺言は、必ずしも全ての方に必要なものではありません。ご家族関係やお持ちの財産の種類によって必要性の度合いは変わってきます。相続人が1名しかいないなど、条件によっては遺言が不要な場合もございます。

 一方で、遺言がなければ相続発生後の手続きに大きな障害が発生したり、残されたご家族の争いの種となってしまう場合もございます。このような場合には、遺言によって円満な解決を図ることが可能となります。

 以下の各事例は、特に遺言が必要と考えられる主な事例のご案内です。事例と併せてどのようなリスクがあるのかもご説明しております。遺言がなかったことで大きな遺恨を残さないためにも、次のような事例にお心当たりの方は、是非とも遺言書を作成しましょう。

複数の不動産をお持ちの方

【事例】
子供が複数おり、賃貸不動産を複数所有しています。子供たちには均等に財産を相続させてあげたいと思います。

【リスク】
対策を講じなければ、各物件がお子様の共有名義となってしまうかも知れません。
共有不動産の管理には共有者過半数の意見の一致が必要です。将来、お子様同士で不動産の管理方針に意見の食い違いが起きれば、賃貸不動産の管理が凍結してしまい、せっかくの不動産収入が途絶えてしまいます。
また、将来お子様の相続の際には、お子様の配偶者や子供(遺言者の孫)が相続人となり、共有者の数がネズミ算的に増えていきます。

持ち家をご所有の方

【事例】
自宅不動産を所有していますが、自宅以外にはわずかな預貯金があるのみで大きな財産がありません。

【リスク】
不動産は価値の大きな財産です。持ち家をご所有の場合、不動産の価値が全財産の大部分を占めているという方が多数おられます。相続人が複数いる場合、1名に自宅不動産を相続させると、他の相続人に見合うべき財産が無くなってしまうこともあり得ます。また、相続税の支払いが必要となれば、不動産のみを相続して現金を受け取らなかった相続人は、自己資金で相続税を支払わなければなりません。

会社経営者の方

【事例】
会社を経営しています。会社に関係する財産は後継者の長男に相続させて、他の子どもたちには個人資産を相続させるつもりです。

【リスク】
会社を所有するのは株主です。株主は会社の財産的価値と経営の決定権の両方を有しています。経営者として社長の地位のみをご長男に承継させただけでは、会社を相続させたことにはなりません。株式と個人資産の財産的価値の分配に関するご検討はお済みでしょうか。経営を後継者に引き継ぐためには適切な事前対策が必要です。

障がいをお持ちのお子様がいる方

【事例】
長男が知的障がいを抱えています。私と妻が亡くなった後、次男に迷惑をかけないために、十分な財産と持ち家を残してあげたいと思います。

【リスク】
十分な財産があったとしても、それだけでは不十分です。親御様が遺言を残していなければ、相続の際にはお子様同士の遺産分割協議が必要です。重度の知的障がいがあればおそらく遺産分割協議はできませんので、遺産分割協議を避けるためにも遺言が必要かもしれません。また、次男様に経済的負担をかけないためにも、適切な事前対策が必要です。

お子様がなく、配偶者と兄弟姉妹が相続人となる方

【事例】
私たち夫婦には子がおりません。長く疎遠にしている兄弟姉妹に財産の一部を相続させたくありません。

【リスク】
お子様と直系尊属(親や祖父母など)がいない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。遺言を残していないと、相続の際には、配偶者と兄弟姉妹との間の遺産分割協議が必要となります。


 以上にご紹介した事例は、遺言の必要性が高い事例のほんの一例です。実際に遺言書が必要かどうか、ご事情をお伺いしたうえでご説明いたします。まずはご相談ください。

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