成年後見制度
成年後見制度 とは、認知症、病気、障がいなどにより、自身での財産管理ができない方に代わって、本人の身上監護や対外的な法律行為などの財産管理を行う人(成年後見人)を選ぶ制度です。
契約などの法律行為を行う能力を “意思能力” と言います。意思能力がない人、あるいは意思能力の衰えた人の行為には、法律上の制限があります。
ここで言う法律行為には、高額なものの売買契約や金銭の借入だけでなく、銀行の預金をおろしたり、住居の賃貸をしたり、入院や施設入居を申し込んだり、といった生活に直結するものごとも含まれます。
人生100年時代の認知症対策としての成年後見制度
超高齢社会 を迎える今、高齢者の人口が増えるとともに、認知症 を発症する方の割合も増えています。
日本の総人口の約30%は、65歳以上の高齢者。2025年にはそのうちの5人に1人が認知症になるという推計もあります。実に700万人以上が認知症患者であり、この数は今後も確実に増えていくことが予想されています。
人生100年と言われる現代、認知症のリスクは決して他人事ではありません。
- 認知症になったら銀行口座が凍結される?
- 認知症になったら収入が途絶えてしまうかも?
- 認知症になったら生活が立ち行かなくなるかも?
- 認知症になったら家族の面倒は誰が見るの?
上記のようなご不安があれば、成年後見制度のご利用が検討してみてください。
成年後見制度は、高齢に伴う資産管理のご不安を解決するための制度です。
ふたつの成年後見制度
成年後見制度には大きくわけて、ふたつの制度があります。
すでに意思能力が衰えた方の財産を管理するための仕組みが “法定後見制度” です。
今は意思能力があるが、将来意思能力が衰えたときに備える仕組みが “任意後見制度” です。
法定後見制度には、本人の意思能力の程度に応じて、成年後見、保佐、補助の3類型があります。その中でも、一番利用の多い類型が成年後見です。
法定後見制度
すでに意思能力が衰えた方の財産管理には “法定後見制度” が利用されます。現時点で意思能力がなかったり、不十分となっている人の財産を管理するために、本人に代わる成年後見人などを選ぶ制度が法定後見制度です。
次のような方が認知症などで意思能力が不十分となったら、直ぐに成年後見人の選任が必要です。
- 多額の資産 をお持ちの方
- アパート経営 など対外的な契約を必要とする財産をお持ちの方
- 親族に相続が起きて 遺産分割の協議に参加 しなければならなくなった方
- ご本人が財産管理の支障をきたすと、生活が困難になる扶養家族 のいる方
家庭裁判所の関与
成年後見制度を利用するには、家庭裁判所 に対し成年後見人の選任を申し立てる手続きが必要です。
一般的には、誰が成年後見人となるのか、候補者を挙げて家庭裁判所へ選任を申し立てます。ただし、必ずしも候補者が選任されるとは限りません。誰を成年後見人に選任するかは、あくまでも家庭裁判所の判断となります。
たとえ、これまで本人の身の回りの世話を焼いてきた同居の親族などであっても、成年後見人になれるとは限りません。また、親族が成年後見人に選ばれたとしても、その成年後見人を監督する後見監督人が付けられる場合も多くなります。
そして、成年後見が開始した後も、成年後見人は継続的に 家庭裁判所等の監督 のもとで財産管理を行わなければなりません。
法定後見制度のデメリット
法定後見制度は、認知症などで意思能力の衰えた本人の財産管理を実現する重要な制度ではありますが、その一方で次のようなデメリットがあります。
- 法定後見人は、家庭裁判所の審判により選任されます。事情によっては候補者が選ばれず、第三者の専門職後見人 が選任される可能性もあります。
- 申立てをすると、希望の候補者が選ばれなかったとしても、原則 申立てを取り下げることはできません。
- 一旦、後見が開始すると、原則ご本人が 亡くなるまで後見を終了することはできません。
- 専門職後見人が選任された場合、ご本人が亡くなるまで、継続的に 後見人への報酬 が発生します。
- 後見が開始すると家庭裁判所の監督のもと、後見人が財産管理を行います。後見制度は本人の財産を保全することが目的ですので、家族のための財産利用や資産運用などの投資的財産管理は原則不可能 となります。
- 後見が開始すると、不動産などの 重要な財産の処分には監督者の許可 が必要となります。
認知症になってしまう前に
以上のようなデメリットを避けるためにも、可能であれば、ご本人の意思能力が衰える前に、将来のための対策をしておきたいところです。煩雑な手続きで二の足を踏んでいる方も多いですが、認知症発症後では遅いのです。詳しくはこちら(認知症になってしまってからでは遅い!)をご覧ください。
将来、法定後見制度を利用しなければならなくなるリスクを回避するためには、事前の対策 が有効です。家族信託や任意後見制度など、各種制度を組み合わせて、最適な事前対策をご提案いたします。
ご家族やご自身が 認知症になってしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。
法定後見制度に関するご相談は
当事務所まで
すでに認知症などによってご本人の意思能力が衰えてしまっていて、ご事情により法定後見制度の利用が必要となった場合には、当事務所では次の手続きのサポートが可能です。
- ご家族を候補者とする選任申立手続きのサポート
- 当事務所の司法書士が後見人候補者となるサポート
法定後見制度のご説明から他の制度の利用可能性まで、ご事情を伺いご相談承ります。まずはご相談ください。
任意後見制度
今は意思能力があるが、将来に備えておきたい方には “任意後見制度” がお勧めです。
認知症になってしまってからでは
遅い!
将来、必要に迫られて法定後見制度を利用することになれば、制度上の様々なデメリットがでてきます。認知症発症後の対策では遅いのです。ご自身がお元気なうちであれば、ご家族など自分が希望する 信頼できる相手に 自分の後見人になってもらうことを約束しておく任意後見制度があります。
任意後見制度は、自分の希望する人を将来の後見人候補として、契約で指定しておく制度です。後見人として代理してもらう事柄の内容も契約のなかで定めることができます。法定後見制度の使い勝手の悪い部分を補うことが可能です。
任意後見契約の方式
任意後見は 『任意後見契約に関する法律』 に基づいて行う必要があります。
- ご本人と将来の後見人候補者(受任者)との間の 契約 によって行います。
- 任意後見契約は 公正証書 によって締結する必要があります。
- 将来、ご本人の意思能力が不十分となったときは、受任者が家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任 を申立てます。
- 任意後見監督人が選任された時点で、任意後見が開始します。
将来ではなく
今すぐ財産管理を始めたい
任意後見契約は、将来ご本人の意思能力が不十分となってからはじめて効力が発生します。でも、ご本人がお元気な 今のうちから 受任者に 財産管理を任せたい 場合もあるものと思います。
このような場合は任意後見契約と併せて、“委任契約” を締結する方法がございます。いわゆる “移行型の任意後見契約” と呼ばれる方法です。今すぐ受任者による財産管理をはじめたい方に最適です。
任意後見制度のご相談は
当事務所まで
将来に備えて任意後見契約を検討されたい方や、ご自身での財産管理が体力的に厳しくなってきたのでお子様に管理を任せたい方など、ご事情にあわせた最適な方法による手続きをご提案いたします。
任意後見契約の締結サポートは、神宮外苑司法書士事務所にお任せください。
神宮外苑司法書士事務所では、家族信託・遺言・任意後見などの各種手続きを組み合わせた、お客様ごとの最適な法務手続きをご提案いたします。
東京都 新宿区・渋谷区・港区エリアの司法書士
成年後見制度に関するご相談は神宮外苑司法書士事務所まで
新宿区・渋谷区・港区をはじめ東京都内はもちろん、神奈川県・埼玉県・千葉県ほか首都圏近郊へ出張相談も対応いたしております。お客様のご要望に応じて、Zoomなどによるオンライン相談も可能です。相談方法についてもお気軽にお問い合わせください。
司法書士には 守秘義務 が課せられています。お伺いした内容、ご依頼内容の秘密が外部に漏れる心配はございませんので、安心してお悩みごとをご相談ください。
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お客様に寄り添う
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相続を争続にしない
遺言は残される家族への最良の贈り物です。