相続は普遍的なルールではない

相続は普遍的なルールではない

 ある人が亡くなると、その人の財産は配偶者や子供などに引き継がれます。この仕組みを『相続』と言います。

 財産を相続する人を『相続人』と呼び、亡くなった人を『被相続人』と呼びます。
 被相続人が所有していた財産を『相続財産』と言います。
 被相続人が亡くなることを『相続の発生』とか『相続の開始』などと表現します。

 法律的な言い回しで言えば、『相続とは、人の死亡によって開始し、その開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を相続人が承継する仕組み』ということになります。

 相続財産が相続人に相続されるというルールは、現代の日本で生活していると当然のことと感じてしまいがちですが、よく考えてみれば、古今東西いつでもどこでも通用した普遍的なルールではありません。現代では、世界中の大部分の地域において相続のルールが定められていますし、もちろん日本でも法律に相続のルールが明記されています。しかし、時代や場所が違えばこの常識は簡単に変わってしまいます。

 そもそも『相続』は、被相続人が財産を『所有』しているからこそ検討すべき仕組みです。前提として個人の財産所有(私有財産制)が認められていなければ、財産の相続も発生しないはずです。そして、私有財産制が認められたとしても、その財産が親から子へ承継されるかどうかはまた別の問題です。例えば、生きているうちは財産の所有を認めたとしても、所有者が亡くなればその財産を国や王様に返還しなければならないというルールだってあり得たかもしれません。

 今とは違うルールについて、実際の例で考えてみれば、戦前の民法には『家督相続』という、今とは全く違うかたちの相続の仕組みが規定されていました。

 当時の『家督相続』は、家長の相続財産が、家督を継ぐ次世代の家長たったひとりに引き継がれるという『封建的な世襲制』に基づいた仕組みでした。財産はすべて『家』に属しており、その『家』の代表者である家長が財産の所有者であるとされていたわけです。

 現代では、このような封建的な世襲制は不自然なものとして否定され、個人の財産を子供個人に伝え残すことこそが自然な制度であると捉えられています。イギリスの哲学者バートランド・ラッセルは、現代人のこのような考え方について、「政治的な権力の世襲主義は否定しているのに、経済的権力についてはその世襲を承認している」と表現しました。この言葉を聞くと、自分が如何に目の前に提示された社会制度を無反省に受け入れていたかに気付かされ、深く考えさせられる思いがします。

 おそらく未来のある時期においては、今私たちが自然であると考えている現代的な相続の仕組みも、不自然な社会的仕組みと認識されることになることでしょう。

 相続のルールは普遍的なものではなく、あくまでも現時点における社会一般の価値観に即して定められたルールなのだということを、改めて考えてみてはいかがでしょうか。


 相続の仕組みが法律に定められているからこそ相続財産は相続人に承継されます。法律に定められているから認められるということは、逆に言えば、法律に書いてある通りにしか相続は認められないということでもあります。

 ご自身の財産を希望通りに相続人に承継させるには、法律に則った適切な遺言書の作成が必要です。
 被相続人の相続財産を円満に分割するには、法律に則った適切な遺産分割協議が必要です。

 公正証書遺言や自筆証書遺言など遺言書の作成や、遺産分割協議書の作成には、正しい法律の知識が求められます。

 誤った法律判断に基づいて作成した遺言書は、無効になってしまう可能性があります。
 誤った法律判断に基づく遺産分割協議は、トラブルの原因ともなります。

 遺言書の作成や遺産分割協議など、相続にまつわる各種手続きの際には、経験豊富な法律専門家のサポートを得て、正しい法律解釈のもと手続きを進めることをお勧めいたします。

 神宮外苑司法書士事務所は、予防法務の専門家として、相続に関する各種法務手続きにおいて、豊富な経験と正確な知識に基づいて、お客様の立場に親身に寄り添い最適な法務サービスを提供いたします。遺言書の作成をはじめ相続の法務に関するご相談がございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

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